アトピー性皮膚炎と漢方薬
アトピー性皮膚炎は、体内にこもった毒素(特に腸内 中医学では皮膚は肺に属し、肺と大腸は表裏の関係にあります)が原因と考えられています。
ですので、まず、治療の第一段階として、毒素をとりのぞく治療をします。
次に、体を強化して、毒素がたまらないようにします。
ステロイドなどは、一時的に炎症をおさえる事が出来ても、
こういった毒素を分解する力はありませんし、
体を強化する事も出来ません。
第一段階 去邪
毒素の治療
アトピーは皮膚の病気ですが、漢方では全身の病気と考えています。
体内にさまざまな毒素が蓄積されて、それが皮膚からあふれ出していると考えます。
まず、毒素の種類を考えて、それを取り除く事がら始めます。
瘀血 よごれた血液です。 かきむしり、血が出ると痒みがおさまります。
皮膚はカサカサとした感じでかさぶたを伴います。
瘀血を綺麗にするような漢方薬を用います。
血熱 淤血が長引いて熱がこもった状態です。
赤みが強い湿疹が特徴です。
血熱をとるような漢方薬を使います。
痰湿 汚れた水や繊維、脂などの毒素です。
水疱になったり、うすいリンパ液が出たりします。
痰湿をとる漢方薬を使います。
湿熱 痰湿が長引いて熱がこもった状態です。
患部は赤くただれて、ジュクジュクしています。
湿熱をとる漢方薬を使います。
宿風 風という邪気が体内にとどまっている状態です。
クーラーのあたりすぎなどが原因です。
痒みは変化します。
宿風をとるような漢方薬を使います。
風湿 宿風と湿が体内にとどまった状態です。
赤みは少なく、時に蕁麻疹のように地図状に隆起します。
風湿をとるような漢方薬を使います。
伏燥 燥邪が体内にとどまった状態です。
秋、冬に悪化し、乾燥感が強く、お風呂に入ると良くなります。
宿燥をとるような漢方薬などを使います。
燥邪は化熱する傾向がありますから、清熱作用のあるものを使います。
また表面的にカサカサしていても内部には湿がたまっている事もあります。
アトピーも急性期は、湿熱や血熱の状態が多く、
少し収まってくると淤血、風湿が多くなります。
第二段階 扶正+去邪
内臓のバランスを整え、毒素がたまらないようにします。
健康な状態では、毒素は自然に排泄されるはずです。
毒素がうまく排泄出来ず、体内に蓄積されていまうのは、
体の何処かに問題があるからです。
この問題点をさぐり、治療する必要があります。
脾虚 アトピーで一番多い問題点です。
脾とは胃腸の消化機能をさしています。
脾の機能が弱いと食べたものがうまく分解されず、そのまま毒素になってしまいます。
脾虚を改善るする漢方で胃腸を丈夫にし、消化を助ける漢方で、食べたものを分解します。
肝鬱 肝は、肝臓だけではありません。
気の流れを調節する自律神経のようなものです。
アトピーの悪化はストレスとすごく関係があります。
これは、おそらく交感神経の興奮によるものではないかと思います。
肝の働きを調整して、気の流れを良くする事が大切です。
肝鬱を改善するような漢方を使います。
血虚 血液の不足です。
血液が不足すると、血流が悪くなり、淤血の原因にもなります。
また、皮膚にも栄養がゆきわたらなくなり、カサカサします。
老廃物の回収もうまくいかなくなりかゆみをおこします。
血を補うような漢方を使います。
気虚 気にはさまざまな働きがあります。
体外から体を守る防衛機能の働きを衛気といっています。
この衛気が不足すると、病気やアレルギーになりやすくなります。
気を補うような漢方薬を使います。
腎虚 漢方ではホルモンの働きを腎と考えます。
ホルモンの分泌が弱い体質や状態を腎虚と言います。
腎虚の改善には補腎作用のあるような漢方薬を使います。
注意点は、第2段階の時も第一段階の治療を少し併用する事です。
現代の社会生活は、気をつけていても色々な汚れや毒素が
溜まりやすい環境にあるからです。