深谷薬局養心堂
漢方薬局 深谷薬局養心堂

自律神経失調のご相談



脳の中には「セロトニン」「オキシトシン」「ドーパミン」と言った幸せ物質が分泌されています。
漢方では、これらは「目に見えないけど働きがあるもの」として「気」と名付けられました。



イライラする
不安感がある
疲れがとれない
よく眠れない
めまいがする
ふわふわする
肩こりがする
偏頭痛
緊張性頭痛
やる気か出ない
夢が多い
朝起きられない
うつ気味
感情が不安定
PMS 生理前の諸症状
自律神経失調

中国の漢方医学の中医学では、目に見えなくて働きがあるものを「気」と言います。
ホルモンや自律神経、免疫などがそれです。
これらのバランスを気の流れと言います。
ですから、自律神経失調などは気の流れが悪くなった気滞という状態といえます。
気滞がおこっている場合は気の流れをスムースにする漢方薬を使いますが、実はそれだけでは不足です。
気滞が起こる原因を突き止める事が大切なのです。例えば、血の汚れの瘀血や水や脂の汚れの痰湿、胃腸の汚れの食滞などがある場合があります。
また、余分な熱がこもっていたり、冷えがある場合などもあります。
また、とても大切なのが五臓のバランスです。
気の流れを調節ているのは肝なのですが、肝以外の心、肺、脾、腎なども肝に影響しています。その影響の仕方もさまざまで、からまった糸をほぐしていくような作業といえます。
ですから、自律神経失調だからこの漢方薬といったような十把一絡げのような方法ではなかなかうまくいきません。
中医学に詳しい中国国立大学の元客員教授の深谷彰と深谷幹子が一人ひとりの体質や状態を考えて、それにあった漢方を使っていきます。



イライラ対策の漢方薬
分けもなく、イライラする。
小さい事でも気になり、腹が立つ。
このような場合、中医学的には肝の気の流れが滞っていると考えます。

中医学では肝は、「木」の性質があると考えています。
木は、春になると新しい葉をつけ、天に向かってすくすくと伸びていきます。
この伸びやかな状態が肝の気の流れが正常な状態です。
また生きている木には潤いがあり、硬そうですが、しなやかな性質があります。
もし木の中の水が減って、しなやかさをうしなってしまうと、木は固くなります。
風が吹いた時に、木はしなって、風を受け流す事が大切です。
木が硬いと風の抵抗に負けて、ついには折れてしまいます。
風をストレスに置き換えてみて下さい。
肝の柔らかさが足りないと、ストレスを受け流す事が出来ず、頑固に風に抵抗します。
この時におこる状況が、イライラです。
つまりイライラがおこる原因としては肝の潤い不足と言えます。

この事は陰と陽のバランスからも説明できます。
陰は潤いで、水です。
陽はエネルギーで、火です。
水は火が強くなりすぎないよう、また火は水が強くなりすぎないようにお互いにコントロールしあっています。
もし、このコントロールがうまく行かなくなり、水が不足して火が強くなるとイライラしてきます。
肝の中の火ですから、これを肝火(かんか)と言います。
肝火は上にのぼる性質があり、肝火がさかんだと顔が赤くなります。
この状態が肝火上炎です。
肝火上炎が長く続くと肝火は心に燃え移り、心火がさかんになります。
この時の症状が不眠です

治療方法としては、肝や心に潤いを与えて、肝火や心火をコントロール出来るようにしてあげる事です。
体質や状況によって使う漢方は一人一人違いますので、一度ご相談ください。



不安感の漢方薬
不安感があっても、不安になる原因がはっきりしている場合は病気とは言えません。
特に大きな不安材料が無いのに、常に不安を感じる場合は中医学的に異常ありと考えます。

「大胆」という言葉があります。
胆嚢は現代医学的には、胆汁を入れる袋に過ぎません。
これに対して中医学では非常に大きな意味を持っています。
胆嚢は肝臓に付属する玉のような臓器です。
これを「肝っ玉」とも言います。
つまり胆嚢が大きい人は「肝っ玉が大きい」人で「大胆」な人なのです。
こういう人は不安をあまり感じません。
いつも不安を感じる人は、胆の働きが悪い人です。
ですから、不安感を感じやすい人はまず胆の働きを改善するような処方を考えます。
胆という部分には汚れが溜まりやすいと考えます。
胆に汚れがたまると胆の働きが悪くなります。
ですから、胆を丈夫にするために汚れを綺麗にしておく事も大切です。

胆の働きを考える時、肝の働きも考えます。
これは胆と肝が表裏の関係にあるからです。
肝は全身の気の流れを調整しています。
この働きを疏泄(そせつ)と言います。
肝の疏泄がうまくいかないと、気の流れが悪くなり気滞がおこります。
現代医学的には自律神経失調症のような状態です。
「肝を冷やす」という言葉があります。
この場合の肝(きも)は肝臓だけでなく内蔵の意味です。
人間の体は交感神経が優位になると、副交感神経の働きは抑えられ、内臓の血流量が少なくなります。
この状態が肝を冷やしている状態と言えます。
自律神経が安定して、内臓の血流量がよくなるとリラックスして不安を感じにくくなります。

自律神経失調の状態が長く続くと、肝以外に心と胆に影響してきます。
心は大腦の働き、胆は情緒を代表しています。
自律神経失調症の症状以外にも、不眠、記憶力の低下、不安感、情緒不安定など様々な症状が出てきます。
つまり、精神の病気は中医学では心、胆、肝との関係が深いと言えます。
この3つはお互いに関係していて、切り離して考える事は出来ません。
心には神が住んでいます。
この神が安心できるようにする事も大切です。

このように考えると不安に対する中医学的な対処は
疏肝理気 で 肝の気の流れをよくして肝を冷やさないようにする
胆の機能を良くして大胆になれるようにする
養心安神作用の漢方で、神を安心させる
この3つが大切です。
また、このようなタイプの人は副交感神経の働きが悪いため、胃腸障害が多くみられます。
健脾作用のもので、胃腸を丈夫にする事も大切です。



疲れに良い漢方薬
疲れている状態をエンジンにたとえてみます。
そうするとエンジンからパワーが出ない場合は
燃料の不足         気血の不足
エンジンがさびついている  瘀血や痰湿
オーバーヒート       発熱
オイル不良         潤い不足
整備不良          気滞
となります。
それぞれの場合で、対処は違いますね。
疲れも同じです。
確かに気血両虚のような症状が多いので気血を補うものを使いがちですが、補気補血だけで簡単なに行かない場合はその他の原因も考えてみる必要があります。
痰湿や瘀血と言った汚れがある場合は、それをまず掃除します。
発熱は陰虚型と気虚発熱があります。
陰虚型の場合は、滋陰のものを使います。
気虚発熱の場合は補気作用のものに少し清熱を加えます。
潤い不足の場合は、津液を補うものを使います。
夏などに多い症状です。
気滞はストレスなどで自律神経のバランスが悪い場合です。

また鬱から来る疲れがあります。
この場合は肉体的な疲労だけでなく精神的な疲労が強くなります。
治療としては鬱を中心に治療していきます。



不眠症と漢方薬
中医学で不眠は、陰と陽の消長がうまくいかない状態と考えています。 陰は静かで静的なもの、鎮静作用があります。 陽は動的で、興奮、覚醒作用があります。 例えて言えば、陽は交感神経、陰は副交感神経と言えます。 この2つがバランスを取りながら、昼と夜で消長していく事により覚醒と睡眠の時間をつくっていきます。

では、陰と陽のバランスはどうやってとっているのでしょうか?肺は陰の気を右から下にさげています。肝は陽の気を左が持ち上げます。これを右降左昇と言います。陰陽の巴のようなマークは左側に白い陽気がのぼり、右側から黒い陰気が降りるようになっています。

心は腎と互いに交わっています。
心は火、腎は水に例えられています。
水と火はお互いに牽制して、バランスをとっています。
この牽制がうまくいかないと心と腎の気は交わらずバラバラになります。
この状態を心腎不交と言います。
心と腎を結びつけるのは脾の働きです。
脾は体の中央にあり、腎と心の仲人をしています。

このように考えると不眠の原因はさまざまです。 心火が降りない 腎水が登らない 脾の働きが悪い 肺気がおりない 肝気が登らない などを考えます。 中医学では、不眠ならこの漢方といような単純な考えはしません。 まず原因を考え、そして体質、状態によって適切な処方を選んでいきます。

漢方以外では、生活習慣の改善が必要です。 入浴してすぐに布団に入ると体があたたまって、眠れない事が多くあります。 ですので、少し時間をあけてから布団に入るようにします。

人間の脳は光によってコントロールされています。 青色の光は興奮作用があり、黄色い光には鎮静作用があります。 寝る前にPCやスマホをやらないようにしましょう。 また部屋の明かりを黄色系統にすると良いです。 逆に朝や午前中は青色の光を多くします。 青空の下で朝日をあびるのも良いでしょう。 このようにして一日のリズムを作ります。 最近はスマホのアプリなどで、眠れる音楽などがあります。

一つの訓練として、頭の中で、文章を作らないようにします。 眠れない時はあれこれと考えていろいろな事を考えてしまいます。 目をつぶって、目の前に浮かんで来る映像に注目します。 文章ではなく、切れ切れの単語を思いうかべ、その映像を思い浮かべます。 映像がはっきりして来たら、次の単語を思い浮かべ、その映像を思い浮かべます。 この時、なるべく自然に次の単語や映像が出てくるようにするのが良いです。 脳は意味の無い作業をしていると眠くなるように出来ています。 大切な事をしている時は眠くならないようになっています。



めまいと漢方薬
めまいは、耳が原因の場合と、そうでないものがあります。
耳が原因のめまいは、頭を動かすとめまいがひどくなります。
この場合で、耳石がはがれて起こるめまいは、非常に激しいめまいです。
ただ、耳石が出てしまえばめまいは治ります。
メニエール症候群など耳からおこるめまいは、耳鳴りと似たような考えになります。
つまり、濁飲という汚れた水が耳にたまっていて、それが肝の気とぶつかってふらふらするという考えです。
中医学は濁飲+肝風内動と考えます。
濁飲をとる漢方と鎮肝熄風湯という方法を体質に応じて考えます。
また濁飲が生まれる原因も考えます。

耳以外が原因の場合は、血流が原因の事が多いです。
血液の量が少ない血虚と、血液を送る力が少ない気虚、さらに血液が汚れている瘀血があります。
どのタイプか判断して、またそれがおこる原因も考えていきます。
不眠、耳鳴りなどを伴う場合はそれも同時に治療していく事が大切です。



ふわふわ感と漢方薬
めまいとちょっと違う感覚に「ふわふわする感じ」があります。
正式な呼び方は無いのですが、これを「ふわふわ感」と言っています。
めまいは、主に回転する感じで、原因は耳にある事が多いです。
頭を動かすと激しくなり、吐き気を伴う事も多くあります。
これに対して、ふわふわ感は、地面が揺れているような感じで、長く続く場合は船にのっている感じで、短い場合は地震と間違える感じです。
大きく分けて、生気の不足と邪実による場合があります。

生気の不足
 血の不足 立ちくらみ、冷え、生理の色が薄い、舌の色が淡い、脈が細いなど血虚の症状があります。
   心の部分の血の不足 不眠や物忘れなどを伴います。胃腸の機能低下がある事が多いです。
    心脾顆粒などをよく使います。
   肝の部分の血の不足 自立神経失調症のような症状があります。
    婦宝当帰膠 酸棗仁湯などを使います。
 気の不足 疲れ、立ちくらみ、気分の落ち込みなどを伴う事が多く、脈は力が無く、舌は胖大になる事が多い。
   心気の不足 肺の気虚を伴う事が多く、動悸や息切れなどを伴う事が多いです。
    冬虫夏草 双料参茸丸などを使います。
   脾の気の不足
    脾の気が上に上がらない事が多く、内臓の下垂がある事が多いです。
    補中益気湯などをよく使います。
   腎の気の不足 排尿に異常があったり、腰痛、老化などが関係します。
    補腎作用のものをよく使います。

邪実によるもの
 痰濁 汚れた水、脂、繊維などが原因です。舌の苔が厚くなっている事が多く、脈は滑となります。
 瘀血 汚れた血が原因です。舌にくすみがあり、舌下の静脈が怒張しています。脈は渋となります。
 気滞 気の流れがスムースに行かない場合で、体のどこかにつまる感じがあります。のど、首筋に違和感が出る事が多いです。
 水滞 水の流れが悪い事が多いです。ただ、水滞はめまいを起こす事が多く、ふわふわ感はあまり多くありません。

これらの原因は一つではない事が多く、いろいろな原因が複雑にからみあっています。



肩こりと漢方薬
中医学的には、筋肉は脾(胃腸の働き)と関係していると考えます。
また、筋(すじ)は肝との関係が深いです。
この事から、肩こりや筋肉痛などは肝と脾の問題が大きいと考えます。
肝は、自律神経やストレスとも関係しています。
ストレスが原因の場合は、首の後ろあたりが固くなる事が多いようです。
この場合は気の流れを良くするような漢方を使います。
肝は血を蓄えています。
肝に蓄える血が不足してくると、肝血不足の状態になり、筋肉に潤いがなくなります。
この時、目にも潤いがなくなり、目の疲れや見にくいなどの症状が伴う事が多いです。
肝腎同源といって肝血は腎水との関係も深いため、腎陰を補うものも考えます。
胃腸が弱く、食べたものが十分に吸収できないと、筋肉を養う事が出来ず肩こりに悩まされます。
この場合は、痩せて筋肉が落ちてくる事が多いです。
また、瘀血と言って血の汚れがたまっていたり、痰湿と言って汚れた水脂がたまっていたりすると、やはり肩こりをおこします。
瘀血がある場合は、脈が渋になり、舌の色が暗紫色になり、生理に固まりが出るなど瘀血独特の症状がある事が多いです。
痰湿がある場合は、むくみやすく、舌が胖大で歯痕があり、苔は厚く、脈は滑になる事が多いです。
また、肩こりの原因が一つではなく、いろいろな原因が混ざり合っている場合、漢方治療も複雑になります。
寝違えなど一時的な肩こりは、漢方を飲むより、針での治療の方が効果が出やすいでしょう。



偏頭痛と漢方薬
頭痛には主に2種類あります。
一つは緊張性頭痛。
もう一つは偏頭痛です。
どちらも脳の血流の問題ですが、緊張性頭痛は血管が収縮して血流が悪い状態。
偏頭痛は血管が拡張して血流が一気に流れ込む状態です。
緊張性頭痛の場合は、首の部分を温め、血流をよくする事が改善に繋がります。
偏頭痛は、頭部を冷やし、安静にする事が大切です。
この2つの頭痛は一つの症状の裏表とも言えます。
つまり、どちらも血管の調整がうまく行っていないのです。
一般的には、緊張状態、高ストレス状態が長く続くと血管が収縮して緊張性頭痛がおこります。
その後、ストレスから開放されると、血管が拡張して血流が一気に流れ込みます。
このように初めに緊張性頭痛があって、その後偏頭痛を発症する事が多いと思われます。
中医学的には、まず緊張性頭痛が起こらないようにすると、偏頭痛もおこりにくくなります。
緊張性頭痛の状態の時は、血流を改善する漢方、偏頭痛の時は清熱利湿などの漢方を使います。
これとはまた別に、生理の時だけ頭痛を起こすタイプがあります。
この場合は、生理痛と関係していますので、まず生理痛の改善が大切です。

またこれ以外に群発頭痛という種類があります。
男性に多く、季節の変わり目などに症状がでやすいものです。
片方の目をえぐられるような激しい痛みが出ます。
1回おこると、毎日のように続きます。
原因はまだ解っていませんが、目の奥の血管と関係があると考えられています。
中医学的には、肝火上炎と考えます。



緊張性頭痛と漢方薬
偏頭痛と並んで多いのが緊張性頭痛です。
緊張性頭痛は、偏頭痛ほど激しい症状はありません。
偏頭痛は頭がガンガンして張り裂けそう、吐き気を伴う、寝ていても痛いなどが特徴です。
これに対して、緊張性頭痛は肩や首のこりが原因で、重たい、締め付けられるなどの頭痛です。
横になったり温めたりすると少し楽になります。
一般的には吐き気は伴いません。
原因としては、ストレスや冷えなどで筋肉が緊張して血流が悪い状態です。
中医学的には肝鬱気滞と考えます。
また、瘀血や痰湿などの汚れが多い体質だと、血流はさらに悪くなります。
治療しては、気の流れを良くしてストレスに強くなるような漢方をよく使います。
また、少し温めて血流を改善する方法も効果的です。
ただ、偏頭痛で有効な処方は緊張性頭痛では効果が出にくいでしょう。
一番困るのは、偏頭痛と緊張性頭痛の両方があり、まず緊張性頭痛が起こり、その後から偏頭痛に変化するタイプです。
この場合は、緊張性頭痛を治していくと偏頭痛もおこりにくくなります。

緊張性頭痛の場合は、適度な運動やストレッチも大切です。
またストレス対策として良い音楽を聞いたり、アロマなどでリラックスするのも良いでしょう。



やる気が出ない時の漢方薬
やる気が出ない場合、体が動かない場合と、気力が無い場合に分けられます。

体が動かない場合は、いろいろな原因があり、どこの部分が何故動かないか分析していく必要があります。

気力が無い場合、体もだるいのですが、それ以上に気分が塞ぐ、不安、物事がつまらない、生きるのが苦痛などの状態が強く現れます。

中医学では、脳は心の一部と考えます。ですから、この場合、病気の定位は心と考えます。
心気の不足を心気虚と言います。

ここで、心気は2つの働きをしています。
一つは心臓を動かす働きです。
この働きと肺を動かす働きをあわせて宗気と言っています。
宗気の不足によく使うものとしては冬虫夏草、黄耆などがあります。
心の気の働きでもう一つは、脳を働かせる働きです。
この働きが弱くなると、気力がない、やる気がしない、朝起きられないなどの症状が現れます。
この時によく使うのは、シベリア人参、心脾顆粒、ロゼアなどですが、体質、状態などによっても使うものが違ってきます。
また気力の不足だけでなく、流れが悪い場合もあります。
鬱という漢字は、流れが悪く塞がった状態を意味しています。
酒樽の上に重りをおいた様子を表す漢字です。
上に乗っているおもりを解いて、蓋をあける事により、気の流れを改善すれば鬱状態も改善していきます。
気の流れを改善するのによく使うのが、逍遥丸、開気丸、柴胡疏肝散などです。



夢が多い時の漢方薬
夢は、誰でも眠っていれば必ず見るもので、脳が情報を整理するのに欠かせないものと考えられます。
ただ、普通は朝になると忘れています。
ですから、夢は見ていないと感じます。
もし、夢を見ている時に、起こされると誰でも夢を覚えています。
ですので、夢を見る事自体が悪い事ではありません。むしろ正常な睡眠がとれている証拠となります。
ただ、夢を覚えている場合、途中で目が覚めているので、睡眠の質が悪いと感じます。

黄帝内経という古い書物にも夢の事が書かれています。
空を飛ぶ夢を見るのは肺に問題がある
火事の夢を見るのは、心に問題がある
戦いの夢を見るのは腎に問題がある
などと記載されています。
これが必ずしも正しいとは限りませんが、夢と体の状態がある程度関係する事はあります。
たとえば夜尿症の子供は、水に関する夢をよく見ます。

これらの事から、夢を見なくする事は出来ないし、心配しない事です。
ただ、睡眠の質は改善する必要があります。
特に注意するのは、寝る前のスマホです。
また、興奮したり、頭を使うようなテレビは見ないようにします。
できれば、リラックスできる音楽を部屋を暗くして聞きます。
電気の色も黄色い暖色系が良いでしょう。
お風呂もあまり寝る前でなく、少し体が冷めてから布団に入ります。
運動も寝る前はあまりおすすめしません。
このようにすると、たいていは漢方を使わなくても改善する事が多いです。
それでも改善しない場合は、どこに原因があるのかよく考えて、適切に漢方を使っていきます。

そもそも、脳は昼間に起こった事は一時的に記憶しています。その情報を取捨選択して必要な情報を固定させる作業をします。その時に情報を整理するために夢を見ると考えられています。ですから、夢は人間にとってとても大切なものなのです。



朝が苦手でなかなか起きられない時の漢方薬
朝が苦手で、どうしても起きられないという方が沢山あります。
中医学では、体内には陰と陽があり、それが体内を流れ、昼は陽が強く、夜は陰が強く作用しています。
昼と夜で、陰陽の交代が行われます。
この陰陽の交代がうまくいかないと、朝になっても陽気が登らなくて朝起きられないという現象がおこります。
逆に夜になっても陽気が沈まないとなかなか寝付けないという症状が現れます。
この朝になっても陽気が登らないという現象と、夜になっても陽気が沈まないという現象は表裏一体なので、同時に見られる事も多いです。
一つは、陽気そのものが不足している場合です。
もう一つは陰と陽の交代がスムーズに行かない場合です。

陽気の不足の場合、陽気そのものの量の不足があります。
陽気を作るのは食べたものを吸収する脾と、それをエネルギーとして蓄える腎の作用です。
また呼吸も陽気に関係しています。
陽気の不足を陽虚と言いますが、脾と腎と肺の働きの低下と考えられます。
ですからこの部分の陽気を補う事が大切です。

陰と陽の交代がうまくいかない場合、陽気が上がる力が足りない場合、陰気が降りる力が足りない場合、汚れがたまり、陰と陽の回転軸がさびついている場合があります。
陽気を持ち上げるのは脾と肝です。
脾気虚、肝気虚の場合に陽気を持ち上げる力が足りなくなります。
陰の気を下ろすのば、肺と腎です。
肺と腎の陰気が降りると、自然に陽気がのぼります。
陰と陽の回転軸は、体の中心、脾胃のあたりにあります。
脾胃のあたりに、痰湿、瘀血、食滞などの汚れがたまると回転軸がさびついて動かなくなります。
この場合は、汚れを綺麗にするような漢方を使います。

また、朝起きられないだけでなく、鬱を伴う場合は先に鬱の治療から考えていきます。



鬱と漢方薬
鬱という漢字は難しいですね。
下の左部分は米を火であたため、発酵させている様子です。
下の右は、湯気です。
発酵させるとガスが出ますね。
そこに蓋をかぶせて、木や缶で重りをのせています。
つまり湯気や香りを閉じ込めた状態を表現しています。
うつになると、家に閉じこもって外に出なくなります。
鬱は、中医学では流れが悪くなっている状態を意味しています。
うつというと、なんとなくやる気がしないとか、エネルギ不足のようなイメージを持ちやすいのですが、たしかに気虚はあるのですが、気虚だけではありません。
鬱の本体は、気の不足ではなく、気の流れが悪く渋滞して塞がった状態です。
ですから、大切なのは気の流れを良くして渋滞を改善する事です。
もし、渋滞改善しないで、ただ単に気を補うだけだと、渋滞はよけいにひどくなります。
うつの場合は純粋な虚ではなく、虚と実が錯雑していると考える事が大切です。
つまった気の流れを良くするのによく使うのが、開気丸、逍遥丸、温胆湯などです。
これらは体質や症状で使い分けます。
気の流れが悪くなって一番ダメージを受けるのが肝なのですが、肝の状態ですと、まだ鬱までは行かなくて、自立神経失調症といった状態となります。
この状態が長く続くと、病は肝から心に移行します。
肝と心は親子の関係にあり、親の病は子にうつりやすいです。
そして、心に邪気がたまります。
この時点で夜眠れない、夢が多い、イライラなどの症状が出てきます。
この段階では、心の邪気をとる漢方を使います。
さらにこの状態がつづく心の気が疲れて消耗してしまい心気虚がおこります。
そうすると、やる気がしない、動悸、不安などの症状が出ます。
また、肝は胆と表裏なので、肝の病が胆に伝わる事もあります。
この場合は胆気虚という状態になり、不安感、おどろきやすい、ビクビクするなどの症状が出てきます。
このように、鬱の場合、虚と実が錯雑して、肝、心、胆などの臓の機能失調があり、使う漢方も複雑です。



感情が不安定
中医学では脳の働きを五臓に分担させています。
ただその中で、中心となるのは「心 しん」と「肝 かん」です。
では、心と肝、どのように違うのでしょうか。
心は物を考える、物を記憶する、視覚や聴覚などの五感を感じる、意識
行動をお越し、筋肉を動かすなどです。
これに対して肝は自律神経的なもの、イライラ、クヨクヨ (胆)、ストレスの処理
などです。
そして、肝と心が協力しているものとして
感情のコントロール
睡眠のコントロール
があります。

感情が不安定になる原因として
心気虚 心血虚 など心の機能低下
胆気虚などの胆の機能低下
肝鬱など肝の機能失調
など臓腑の問題と痰湿、瘀血など体内に汚れがたまっている場合があります。

中医学では「邪のあつまる所、必ずその気虚する」という言葉があります。
つまり弱い部分に邪気があつまるのです。
心に邪気があつまると、突然に騒ぎ出したり、頭がぼーっとして記憶力がなくなったり、訳もなく泣き出すなどをおこします。
肝に邪気がたまると、イライラして怒りっぽくなり感情を抑えられなくなります。
胆に邪気がたまると訳もなく不安で、音に敏感になり、落ち着かない感じが強くなります。
どの場合も不眠を伴う事が多いです。
これらの治療としては、まず邪気の種類を判断して、邪気を追い払う事です。
そして、弱っている部分が心なのか肝なのか胆なのか判断してそれを補います。
少し時間はかかりますが、病院のお薬などとも併用できます。



生理前のイライラなどに良い漢方薬
生理で消耗した気血が、徐々に増えていき、生理前にはピークに達します。
もともと気血が少ない人は、生理前に気血が多くなり体調がよくなります。
ただ、普通の人や気血が多めの人は、多くなった気血をさばききれなくて流れが悪くなります。
車の量が増えて渋滞するのと同じ原理です。
この時に、気血を減らすというのはなかなか難しく、また気血が不足すると生理の後にいろいろな症状がでてきます。
ですから、この場合、交通量を規制するのではなく、道幅を広げる事を考えます。
特に気の流れ道は血管ではないので目に見えないものです。
ですから、見て判るようなものではないのです。
気の流れを管理しているのが肝です。
ですから、肝を整え、気の流れをスムーズにする事が大切です。
また、痰湿や瘀血といった汚れが体内にあると、それが気の流れを阻滞させます。
ですから痰湿や瘀血についても考慮する必要があります。
また、冷えても血管が縮まり血流が悪くなります。
中医学ではPMSならこの処方という方法ではなく、その人、その人の体質や状況を判断して適切な処方を選んでいきます。



自律神経失調と漢方薬
中医学では目に見えなくても働きがあるものを「気」と言います。
例えば、免疫、自律神経、ホルモンなどです。
気というものが体の中を流れていると考えています。
そしてその流れが悪くなっているのを「気滞」と言って色々な症状が出ると考えます。
気の流れがつまると渋滞して、張る感じ、つまる感じ、熱感、イライラ、痛み、痒みなどがおこります。
流れが不足すると、くよくよ、やる気がしない、ビクビクなどの症状がおこります。
気の流れを調整しているのは「肝」なので、肝の部分の調整が大切です。

肝の気を整えるには、陰と陽のバランスが大切です。
陰は、水。
陽は、火。
火が強く、水が弱い状態を陰虚火旺と言います。
水が強く、火が弱い状態を陽虚氾水と言います。
ですから、まず陰と陽のバランスを整える事が大切です。
そして肝の気の流れを整える事をします。
これを疏肝理気と言います。
理とは、整えるという意味です。

中医学は目に見えない部分の治療は得意です。
自律神経失調症や不定愁訴、血の道症などは中医学の得意分野です。




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