深谷薬局 養心堂

漢方薬局 深谷薬局養心堂

目・耳・鼻のトラブル



アレルギーは体内に余分な抗体が出来てしまい、それが問題を起こした状態です。
これは体内に不要で害をもたらすもので「邪気」といいます。

目や耳は肝と腎と深い関係があり、目や耳の働きを改善する為には肝と腎の機能を良くする事が大切です。



目の疲れ
かすみ目
めまい
耳鳴り
後鼻漏
蓄膿症
慢性鼻炎・アレルギー性鼻炎

目・耳・鼻のトラブルは、大きく分けて、
1.老化などによる機能の低下
2.血の汚れの瘀血、水や脂や繊維の汚れ痰湿がたまっている場合
3.ストレスや自律神経失調などで気の流れが悪くなっている場合
があります。
それぞれ使う漢方は違います。
機能低下の場合は中医学ては腎との関係が深いですが、肝や脾なども関係しているケースが多いです。
また1と2と3が同時に見られる事も多いです。
中医学では1を虚といい、2と3を実と言います。
日本式の漢方では体力があるのを実証、体力か無いのを虚証と言いますがそれとは全く違っています。
虚の場合はどの臓腑で何が不足しているか考えて不足していものを補います。
同じ血の不足でも不足している場所によって使うものが異なります。
汚れが溜まっている場合は汚れを綺麗にします。詰まっているものは通します。
気の流れが悪くなると汚れも溜まりやすくなります。
深谷薬局養心堂は、中医学に詳しい中国国立大学の元客員教授の深谷彰と深谷幹子が一人ひとりの体質や状況を考えて、その人にあった漢方薬をお勧めしています。



目の疲れと漢方薬
目は中医学的には肝との関係が最も深いと考えます。 ですので、目の疲れ、眼精疲労は肝から治療していきます。 中医学で有名な言葉に「肝は血を受け、よく物を見る」と言われます。 つまり肝に血が沢山あると、目がよく見えるという意味です。 肝の血が不足すると、目が見にくく疲れやすくなります。 ですから、目の疲れには肝を補う事が大切です。 現代医学的にも、レバーにはビタミンAを始め、目に良い成分が沢山含まれています。 肝をもって肝を養うという点からもレバーはおすすめの食品です。

肝を支えているのは腎です。 腎の中には精が含まれています。 また腎陰は体に潤いを与えています。 肝腎同源といって、腎の精や腎陰が肝を養っています。 この点から肝を補うだけでは不足で、腎を補う必要もあります。 そこで考えられたのが「杞菊地黄丸」という、目の疲れで最もよく使う処方です。 飲む目薬とも言われています。

目の疲れがある場合は、血流が悪くなっているケースが多いです。 せっかく杞菊地黄丸を飲んでもあまり効果が出ない場合は、血流を良くする冠元顆粒などを併用すると良いでしょう。 また、紅沙棘という木の美は、目の乾燥を防ぎ、目の疲れに杞菊地黄丸とよく併用します。


かすみ目と漢方薬
かすみ目の主な原因は目の疲れです。ですから、かすみ目改善の爲にはまず目の疲れを改善する事が大切です。
かすみ目の場合、疲れ以外の要素も含んでいます。
例えば、ピント調整がうまくいかない場合です。
これは、いわゆる近視と遠視、そして老眼があります。
近視の場合でも仮性近視であれば目の疲れをとる事で改善していきます。
遺伝的なものの場合は漢方の改善はなかなか難しいでしょう。

老眼の場合ですが、中医学的には水晶体の老化が原因で水晶体が固くなっていると考えます。ですから、腎を補い潤いを与える事で老眼の予防や進行を遅らせる事は可能です。

白内障の場合は、水晶体の汚れが原因と考えますが、単純に汚れを綺麗にする漢方だけでは予防できません。肝や腎を補う方法を併用する必要があります。ただし、ある程度進行した白内障の場合は漢方の効果は出にくいので、やはり眼科による手術が必要です。

水晶体以外の部分、眼球の中の硝子体が濁っているなどの場合は汚れを綺麗にする方法を考えます。具体的には、痰湿や瘀血などの改善です。
ただ、ここで注意する必要があるのは痰湿や瘀血をとる漢方は体を乾かす性質があるので潤いを与えるような漢方と併用する事が大切です。

網膜に異常がある場合は、とにかく眼科にかかる事が大切です。
眼科にかかりながら漢方を併用すると良いでしょう。
特に多いのが黄斑変性という病気で、視野の一部が欠けたり、ゆがんで見える病気です。
網膜の黄斑部という、物を見る時に一番よく使う中心部に浮腫が出来たり、新生血管という細い血管が出来て変性しているのが原因で、加齢と関係があるので昔は加齢黄斑変性と言われていました。西洋医学的にも難しい病気ですが、病院の治療と併用して肝腎を補う漢方や血流を改善する漢方をつかっていくと良いでしょう。

緑内障の場合は眼科の治療と併用して、水の流れを良くするもの、血流を良くするもの、気の流れを良くするものなど、その人、その人の体質を考えて漢方を決めていきます。

中医学の場合は、白内障ならこの薬、緑内障ならこの薬というような単純な使い方はしません。
目は体の一部で、体全部とつながっています。ですので、目だけ切り離してい処方を考えていくという事はしません。
あくまでも、体全体の調子を整える事によって、自然に目も改善していくという考え方です。



めまいと漢方薬
めまいは、耳が原因の場合と、そうでないものがあります。
耳が原因のめまいは、頭を動かすとめまいがひどくなります。
この場合で、耳石がはがれて起こるめまいは、非常に激しいめまいです。
ただ、耳石が出てしまえばめまいは治ります。
首を後ろに倒した時など、特定の位置でおこりるので頭位性と言います。 メニエール症候群など耳からおこるめまいは、耳鳴りと似たような考えになります。
つまり、濁飲という汚れた水が耳にたまっていて、それが肝の気とぶつかってふらふらするという考えです。
中医学は濁飲+肝風内動と考えます。
濁飲をとる漢方と鎮肝熄風湯という方法を体質に応じて考えます。
また濁飲が生まれる原因も考えます。

耳以外が原因の場合は、血流が原因の事が多いです。
血液の量が少ない血虚と、血液を送る力が少ない気虚、さらに血液が汚れている瘀血があります。
どのタイプか判断して、またそれがおこる原因も考えていきます。
不眠、耳鳴りなどを伴う場合はそれも同時に治療していく事が大切です。



耳鳴りと漢方薬
耳鳴りの中医学的な原因としては、濁飲(汚れた水)が頭部に入り込み、これが肝の気とぶつかって音が出ると考えます。
ですから、頭部の濁飲をきれいにする事と、肝の気が上がりすぎないようにする事が大切です。
濁飲は、食べたものがうまく分解できない場合に発生しやすいものです。
ですから、健脾利湿という方法でまず胃腸の働きを整え、濁飲が発生しないようにします。

次に、肝の気ですが、肝の気が上がるのは正常な状態です。
ですが、この気が上がりすぎると、イライラや不眠、目が赤くなるなど肝火の症状がでてきます。
この肝火と濁飲がぶつかって耳鳴りになります。
肝火を抑える必要がありますが、抑えすぎず、正常な範囲にする事が大切です。
料理で言う、火加減です。
もし肝気が登らなくなると、また別な症状が出る可能性があるからです。

急におこった耳鳴りは音は大きいですが、治すのは難しくありません。
耳鼻科の治療と併用する事をおすすめします。
何年もたってしまった場合は、耳鼻科の治療だけではなかなか困難です。
こんな時は漢方を飲んでみてぐたさい。



アレルギー性鼻炎と漢方薬
慢性鼻炎とアレルギー性鼻炎は、中医学的にはあまり区別しませんので、ここではアレルギー性鼻炎について述べます。
アレルギー性鼻炎の原因は、外からやってくる風邪(ふうじゃ)というアレルギーが、体内の湿とか、寒とか、熱といったものと結びついて起こると考えられます。

風邪(ふうじゃ)とは、自然界にあって、変動の激しい邪気を意味しています。
風邪の特徴は痒みです。
この風邪は、それほど強い邪気ではありません。
風邪におかされても、大抵の人は何の反応もありません。
しかし、体内に、湿とか、寒とか熱とかいった邪があると、外からやって来た風邪と結びついて、アレルギー性鼻炎を引き起こします。

花粉症が毎年おこるのは、花粉症の季節が終わっても見えない形で風邪が残っているからです。
この見えない風邪を伏風(宿風)と言います。
この伏風を治さないと毎年発症します。

鼻炎の原因の一つに体内の汚れがあります。
汚れの種類として湿が原因の場合
脾に湿がある場合 胃腸に余分な水がたまっている場合です。
脾の湿をとる漢方薬などを用いて、水分をとってあげます。
肺に湿がある場合
肺に湿がたまる原因は、脾にあります。
脾の機能を活発にしていけば、肺の水は自然になくなります。
肺の湿をとるような漢方薬を用いまいす。
腎に湿がある場合
腎に湿がある場合は、補腎作用がある漢方薬をよく用います。
どの場合も食生活の改善が必要です。

寒が原因の場合
肺に寒がある場合
肺が冷えている場合です。肺を温める作用のある漢方薬などを用います。
脾に寒がある場合
胃腸が冷えている場合です。
腎に寒がある場合
腎陽を補うような漢方薬をよく用います。

熱が原因の場合
肝に熱がある場合
肝胆系の湿熱をとるような漢方薬を用います。
脾胃に熱がある場合
脾胃の熱をとるような漢方薬などを用います。

アレルギー性鼻炎の症状が激しい時は、去風薬を使って、入ってきた風邪に対処します。
慢性鼻炎から蓄膿を起こしている場合は肺系の湿熱をとるだけでなく、胃腸の湿熱をコントロールする事が大切です。
湿熱の状態が長く続くと粘膜に古血がたまり瘀血の状態になります。
この場合は活血化瘀の治療を併用する必要があります。



後鼻漏と漢方薬
後鼻漏の原因としては
 1.蓄膿症
 2.慢性鼻炎
 3.アレルギー性鼻炎
 4.血管運動性鼻炎
などが考えられます。
この時、大切なのは
 鼻汁の色、量、サラサラなのか粘るのか
 鼻汁が出る時間帯
 頭痛の有無
 花粉症の有無
 喉の違和感
を考える事です。

後鼻漏の場合、食事の問題もあります。
中医学ではうまく消化できないものが濁飲となって鼻に流れ込んでいると考えます。
ですから胃腸の働きを良くして濁飲を生じないようにする事が大切です。
また、免疫力の強化も大切です。
中医学では免疫は衛気と言います。
この衛気を強化する事が大切です。
蓄膿などのように炎症がある場合は清熱解毒なども併用していく必要があります。
特に便秘がある場合、腸に熱をもち、その熱が鼻に伝わる事があります。
中医学で鼻は肺に属し、肺と大腸は表裏の関係なので、大腸ね熱は鼻に伝わりやすいのです。

慢性上咽頭炎という状態ですと後鼻漏以外にも、耳鳴り、めまい、偏頭痛、うつ、不眠、舌痛、目の痛みなど様々な症状がおこります。



蓄膿症と漢方薬
私は蓄膿症の場合、「宿邪 しゅくじゃ」という考え方で漢方を使っています。
宿邪とは、体のとそからやって来た邪気が体内に住み着いてしまった状態です。
外からやってくる邪気としては
風邪  カゼとか、花粉などのアレルギーなどです
湿邪  湿気の多い場所に住んでいるとか、雨が多い状態が続くなどです
寒邪  冬の寒さや、時にはクーラーなどです。
燥邪  秋などの空気の乾燥が原因です。
また、体表からではないですが、食滞なども宿邪の原因と考えます。

これらの宿邪は、化熱しやすい性質をもっています。
はじめは冷えでサラサラの鼻水だったものが時間がたつと熱がこもって、粘っこい鼻水になりさらに進んでくると黄色い鼻水になります。
特に湿邪が化熱すると湿熱という状態になり、最も蓄膿症を起こしやすい状態となります。

湿熱の状態が長く続くと、血流に影響が出てきて瘀血という状態になります。
ですから、湿熱と瘀血の改善が蓄膿症の改善にとってとても大切です。
ただし、忘れていけないのは、宿邪は外邪なので、追い払う必要があります。
それぞれの外邪の性質を見極めて、去風薬を使います。
また理気薬は鼻水の排泄にも有利なので、必要によってよく使います。
生薬単位で言えば
化熱して熱が強い場合  石膏 枇杷葉 金銀花 連翹など
つまりがひどい場合  桔梗 枳実 白し 川芎 辛夷 など
などが含まれた処方をよく使います。
また鼻は肺に属し、肺と大腸は表裏なので、便秘がある場合は便秘の改善も大切です。




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